ストローク~人間関係における感情のタッチポイント

ストローク~人間関係における感情のタッチポイント
濵桜コンサルティングの松田史子です。

今回も承認について少し。

前回「レコグニション」という承認の
カタチについてお話ししましたが

今回は、相手の存在を認める言動をさす
「ストローク」
についてお話ししたいと思います。


人間は社会的な存在であり、
他人とのつながりを求め、その交流に
よって成長し、癒されることがあります。

この交流の基本単位として心理学では
「ストローク」という概念があります。

子供の頃、「ヨシヨシ」と、無条件に肯定
され、頭を撫でられた経験がある方も
多いと思いますが、

水泳はじめ、様々な場面で使われる
ストロークという言葉には、「撫でる」
「さする」といった意味があります。

ストロークの提唱者である
エリック・バーン氏はストロークを

「他者の存在を認識する全ての行為」
と定義しています。

つまり、私たちは、人間関係を築くとき、
あらゆる場面で大なり小なりの
ストロークを絶えず行っているのです。

ストロークの形態

ストロークには様々な種類がありますが
大きく3つの概念に分けられます。

① 肯定的・否定的
② 無条件・条件つき
③ ノンストローク 

また、人から示される関心や刺激が、
肉体的なものであるか、
心理的なものであるか、に応じて、

「肉体的ストローク(タッチストローク)」
と「心理的ストローク」に区分されます。

また、ストロークの内容が受け手に
どのように感じられるかにより、

「肯定的ストローク」と
「否定的ストローク」に分類されます。

たとえば、
「おはようございます」「こんにちは」
といった日常の挨拶や、優しい微笑み
などは肯定的なストロークに分類され

一方で、叱ったり怒ったりする行為は、
否定的なストロークに分類されますが

人が人によって幸せを感じるのも、
不幸せに感じるのも、原点はストローク
の出し方、受け取り方によります。

「肉体的ストローク」と
「心理的ストローク」をさらに細かく
分類すると、これらの手段は

「スキンシップ」
「バーバル(言語的)」
「ノンバーバル(非言語的)」
の3つのカテゴリーに分けられます。

同じくそれぞれのカテゴリーには、
肯定的なものと、
否定的なものが存在します。

「スキンシップ」においては、
ハイタッチや握手などの行為が肯定的な
肉体的ストロークとして捉えられます。

一方で、叩くや小突くなどの行為は
否定的なストロークに分類されます。

「バーバル(言語的)」なアプローチでは、
名前を呼ぶ、挨拶を交わす、言葉で褒める
などの行為が肯定的なストロークとして
認識されます。

「ノンバーバル(非言語的)」では、
微笑む、うなずく、仕事を委ねるなどの
「相手を信頼している」と感じさせる
コミュニケーションが肯定的ストローク
となります。

反対に、叱る、悪口を言う(バーバル)、
嘲笑する、睨む(ノンバーバル)などの
行為は否定的なストロークとされます。

ストロークと自己価値観との関係

肯定的なストロークは、
自己価値観を育み、自己効力感を高める
上で非常に重要です。愛情や承認を
受けることは、自尊心を育て、人間関係を
強化します。

逆に、
否定的なストロークやストロークの欠如
は、自尊心の低下、孤独感や疎外感を
引き起こす可能性があります。特に、
幼少期の子供にとって顕著で、その影響
は大人になっても続くことがあります。

人間が成長し健康を維持する為には、
栄養と同様にストロークが必要なため
「ストロークは心の栄養」と言われます。

だから人はストロークが得られないと、
「ストローク飢餓」に陥り、例えそれが
ネガティブなものでも得ようとすると
言われています。

“「愛」の反対は「憎しみ」ではなく
「無関心」“とも言われますが
この言葉は、人の存在を認める言動が、
良い面でも悪い面でも人に大きな影響を
与えることを示しています。

エリック・バーン氏は、
「人はストロークを得るために
生きている」と述べています。

人間にとってそれほど重要なストローク
の意味を知ることは、多くの人が働く
組織において、対人関係に効果を発揮し、
より良い関係構築の一歩となるでしょう。

あまり知られていない言葉ですが、今後
関心が増し、社会やそして様々な組織の
中で共通言語となることを期待します。

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