濵桜コンサルティングの松田史子です。 フィードバックは人材育成に必要な スキルでありながら、日常的に使うには 難しく、ハードルが高いと感じている方 は多いようです。 実はフィードバックは難しくありません。 上がってしまった心理的ハードルを下げ 難しいと思わず、実践していくためには、 いくつか押さえておくべき、 ポイントがあります。 今回はその4つのポイントについて お話ししたいと思います ①「成長フォーカス・フィードバック」へのマインドチェンジ 前回、フィードバックの本来の意味に ついて正しく理解し、職場内で共通の 認識を持ちましょう、とお伝えしました。 フィードバックは、叱ったり、 注意しているのではなく、 成長のために行われている この共通認識を持って行いましょう、と。 とはいえ、そうは言われても フィードバックは、上司から部下への 評価の伝達で、厳しいことだって 言わなきゃいけないし、言いにくい、 聴きたくない、という方は多いでしょう。 確かに、実際の職場では、人事評価面談の ように、部下への評価に対するシリアス なフィードバックの場面も多々あること と思います。 でも、あくまでフィードバックは 部下を「裁く」ものではなく 成長のために与える栄養なのです。 すでに出てしまった「評価」を伝達する 従来型の「評価フォーカス」ではなく 部下の「成長」にフォーカスする 「成長フォーカス・フィードバック」こそ 人材育成に必要なフィードバックです。 成長フォーカス・フィードバックは、 部下の成長やスキル向上を促すために、 強みや改善が必要な点に対して 具体的かつ建設的なフィードバックを 提供するアプローチです。 成長フォーカス・フィードバックは、 部下が自分の能力や行動を理解し、 継続的に成長していくための 支援を目的としています。 ②「成長フォーカス・フィードバック」の2つの切り口 を理解する 成長フォーカス・フィードバックには 大きく2つあります。 ・ポジティブ・フィードバック (肯定的なフィードバック)と ・コンストラクティブ・フィードバック (建設的なフィードバック)です ポジティブ・フィードバック (肯定的なフィードバック) ポジティブ・フィードバックとは 肯定的なこと、良いパフォーマンスに ついて伝えることを指します。 褒める、感謝する、もここに含まれます。 なお、抜きんでたパフォーマンスだけが 良いパフォーマンスではありません。 やるべきことを、いつもやれていたり、 期待値相当のパフォーマンスであれば ポジティブ・フィードバックすべき 対象になります。 褒める、感謝を伝える等の行為は 緊急性を感じず、後回しにされたり、 「言わなくてもきっと伝わるだろう」と、 消失されがちですが、とても重要です。 部下に、良い行動を続けてほしいので あれば、ポジティブ・フィードバックを 行うことで、タイムリーに伝えることも 成長を助け、人材育成につながるのです。 また、ポジティブ・フィードバックが 部下に与える肯定感は、上司が思う以上 に、大きな自信となり、仕事への意欲と なるでしょう。 コンストラクティブ・フィードバック (建設的なフィードバック) コンストラクティブ・フィードバック とは、パフォーマンス向上のために行う フィードバックを指します。 ポジティブの対はネガティブ(否定的) でしょう?と思われるかもしれませんが 成長フォーカス・フィードバックは 相手の成長のために行う行為なので、 否定的な評価を与えるのでなく、 良くなるためのフィードバックを 行います。 コンストラクティブ、つまり「建設的」 というのは、ものごとを良くするさま であり、パフォーマンスを改善する ためのフィードバックを指します。 より良くなるためのアドバイスというと イメージしやすいかもしれません。 成長フォーカス・フィードバック においては 「上司からネガティブなフィードバック をされた。また叱られた・・・」 ではなく 「上司が、コンストラクティブ・ フィードバックをしてくれた。 自分へのアドバイスをもらった!」 となります。 2つを比べてみてどうでしょう。 フィードバックを受け取る部下の気持ち が全く違ってくるのではないでしょうか。 また、フィードバックする上司も、部下に 対して、過去のネガティブな評価を 伝えるのでなく、未来に向けて話すため、 ポジティブな気持ちで向き合えるのでは ないでしょうか。 コンストラクティブ・フィードバックは 部下の成長のためにポジティブに 行うものであり、これこそが 人を成長させる大きな要因となります。 コンストラクティブ・フィードバックに ついて理解することは、フィードバック の本来の目的を理解することと言えます。 ③フィードバックの対象はあくまでも「行動」 相手の成長のために行い、 より良くなるためのアドバイスですが あくまでも、フィードバックの対象は 「人」でなく「行動」 に、フォーカスして行います。 相手にフィードバックするのでなく 相手の行動に対して フィードバックするのです。 例えば、遅刻をした人がいたとします。 「遅刻したダメな人に言う」ではなく 「遅刻したことがダメ」なのです。 相手を評価するのでなく、 相手の特定の行動を変えてもらうために、 その行動がどう見え、どのようなものか、 そしてどうしてほしいかを伝えるのです。 フィードバックが敬遠される理由として フィードバックされることで受け手が、 自分自身を否定されるような気持になる ことが、あげられるでしょう。 しかし、行動にフォーカスすることで 人格とパフォーマンスを切り離して、 受け止めることができ、アドバイスと して耳を傾けることができるのです。 成人した大人同士で仕事をするには必ず、 相手に対するリスペクトが必要です。 これは、部下へフィードバックする時も 同じであり、忘れてはいけません。 ④難しく考えず実践する 今回お伝えした、ポイントは、私自身も、 GAP社で、フィードバックするさいの ポイントとして、教わってきたことです。 私は、強い言葉を使うのが苦手ですが 「コンストラクティブ・フィードバック」 という言葉を初めて聞いたとき、 「これなら自分にもできそうだ」と思い 失敗もしながら、20年以上もこつこつと、 人材育成の現場で実践しています。 実践するかしないかは、この 「できそうだ」と思うことが重要です。 最初から完璧な人はいません。 まずは、やりやすい「できそうだ」と、 思うところから始めてみてください。 その行動こそが、ハードルを下げ、 向こう側へと、超えていくことなのです。 ハードルを超えたその先の 効果的なフィードバック方法については、 また次回、お伝えしたいと思います。
成長フォーカスフィードバック実践のための4つのポイント
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