濵桜コンサルティングの松田史子です。 このブログでは、 濵桜企業文化研究所として 各担当が実体験も交えて 様々な角度から 「企業文化」についてお話しています。 「企業文化」とは、 企業活動の土台であり、 組織内のメンバーや関係者が共有する 価値観、信念、慣習、行動のパターン などを包括的に指す概念ですが、 目に見えるものではありません。 今回も そんな目に見えない「企業文化」に 初めて触れたさいの 私の体験をお話ししたいと思います。 「企業文化との出会い①」 からの続きになります。 GAPへの入社初日に 「カルチャー(企業文化)」 の重要性を聞いた時、 「カルチャー」とは何なのか すぐに理解できなかった私ですが、 この「GAPカルチャー」という よくわからないものに対して、 ポジティブな期待感がありました。 なぜなら、ここまでに出会った GAPメンバーの、どの人も感じが良く、 彼らが共通にまとう、 明るさや、軽やかさを 好ましいと思っていたからです。 それは、採用面接の時からでした。 今では考えられませんが 当時、アパレル企業でも スーツを着ていない面接官は珍しく、 私にとっては、衝撃ですらありました。 スーツを着ていない =その会社ちゃんとしてる?大丈夫? という時代です。 でも、その、 ネクタイをしていない彼らが放つ、 フレンドリーでオープンで、 自由な面接スタイルに、私は魅了され、 すごくカッコイイ会社だと思いました。 そして、自分も このカッコイイ人たちと働きたい、 GAPメンバーの一員になりたい、 と、強く願っていたのです。 彼らが共通に醸し出す、 「この感じ」こそが 「カルチャー」なのでは? そう思いながら 「GAPカルチャー」を言語化した 価値観や行動例について レクチャーを受けたのですが 私の「カルチャー」へのイメージは 合っているところと 違っているところがありました。 まず、意外なことに 私が「GAP」の象徴のように感じた 「フレンドリー」や「スマイル」 のような、ふわっとした言葉は そこにありませんでした。 かわりに、もっと本質的で、 芯の強い言葉たちが並んでいたのです。 例えば、 ・リスクを負うこと ・率直なコミュニケーション ・常に建設的な評価をすること ・積極的な態度 ・個人のイニシアチブ など。 「誰に対しても笑顔で フレンドリーに接すること」 は、価値観に紐づくアウトプットであり 実際は、これらの価値観を意識して 行動することこそが、 「カルチャー」を体現するのだと この時のレクチャーで学びました。 そして 「個人のイニシアチブ」による 一人一人の価値観の体現の集合体が、 私を魅了した 「GAP」独特の あの雰囲気を作るということでした。 今でこそ、 多くの企業でよく見られる 「バリュー」や「コンピテンシー」 と言われるものですが 当時の私には難しく レクチャーを受けたところで 意味がよくわかりませんでした。 ただ、幸いなことに「GAP」には、 多くの手本となる人たちの存在と 人材育成の文化がありました。 新人の私には、 「カルチャー」以外にも覚えるべき 業務が山ほどありましたが、 私の周囲には、必ず先輩社員の姿があり、 彼らが見せてくれる 一つ一つの言動、 判断基準や問いかけ、 日々の率直なフィードバックが、 私自身の「カルチャー」への 学びや気づきとなり、 成長の糧となりました。 そんな風に、日々夢中で 「GAP」の一員として行動するうちに、 やがて、「カルチャー」という言葉への 強い関心や意識は薄れてしまいます。 でも、その頃には私は 「GAPカルチャー」を肌で捉えて、 稚拙ながらも、自然に体現していました。 そして、かつて 自分がそうしてもらったように、 新たなメンバーへ カルチャーの種をまき、 せっせと水をやっていました。 そしてそれは、 私の後も、当然のように 引き継がれ、続いていくことを 知っていました。 私が「ギャップ ジャパン」を 退社し、かなりの年月が経ちました。 それでも先日、地方出張のさい、 ふと立ち寄った店舗で、再会したのは、 現役スタッフ達の、とびきりの笑顔と、 私の良く知るあの、 フレンドリーでオープンな 「GAP」独特の居心地の良さでした。 優れた企業には文化があります。 年月が経ち、メンバーが入れ替わっても、 企業文化は続いていきます。 これは、その企業文化が 単なるトレンドや、一時的なものでなく、 組織の根幹に根付いているからこそ 実現できることです。 新たな仲間が加わるたびに、 そこにいる人々もまた、 成長しながら企業文化を受け継ぎ、 育てていくのです。 そして、これらは 真理であるとともに、 私が「GAPカルチャー」の中で 実際に学び、体験した事実なのです。
「企業文化との出会い②」
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